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フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳 林典子

キルギスの誘拐結婚の取材で有名な林典子さんによる著作です。

フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳
彼女自身が報道写真家としてのキャリアをスタートすることになったガンビアから始まり、リベリアカンボジアパキスタン、日本そしてキルギスと、取材先は全部で6つ。これまでの体験が時系列に書かれています。

一つの国の問題を多角的に取り上げたルポという本ではなく、あくまで林さん自身が体験し、実際に見たものを通して描いています。

取材を行う中で生じる葛藤や、写真で何を成し遂げたいのかとう疑問?彼女自身が悩みながらも乗り越えていく姿もさらけ出しており、報道写真家としての成長期としても読むことができます。

彼女は報道写真の意義をこう述べます。

確かに、写真で一人の人間の人生や、ましてや社会を変えることなど、そう簡単にできることではない。私も、そこまで楽観的ではない。それでも、一人の人間、一つの家族、一つのコミュニティーを時間をかけて、一緒に生活しながら取材すれば、そこに単なる「被写体」を超えた何かが見えてくるはずだ。


とりわけこの言葉の意味が伝わってくるのは、彼女の名前を有名にしたキルギスの誘拐結婚の撮影。キルギスでも誘拐結婚は違法で、実刑判決を受けた男性もいます。
彼女は単に誘拐の写真だけを偶然撮ったわけではなく、誘拐犯側の家族、親類、そして誘拐された新婦側にも寄り添いながら取材を行いました。

また、そもそもの疑問として、

  • 違法行為の瞬間になぜ彼女が立ち会うことができたのか?
  • 写真をとっている場合ではなく救助すべきではないのか?


写真を見ただけではこう思った方もいるかもしれませんが、この疑問の答えは本書を読むとわかります。

世界の片隅で、人間の尊厳に関わるどんな問題が起きているのか?日本にいると全く情報の入らない事実が、報道写真家として成長する林典子さんの目を通して知ることができます。


フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳――いま、この世界の片隅で (岩波新書) フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳――いま、この世界の片隅で (岩波新書)
林 典子

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