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 戦運の夢

書評 書評

戦雲の夢 司馬遼太郎

土佐の英雄長宗我部元親の息子。盛親の生涯を描いた小説。

盛親の幼名は千熊丸。一緒に育った弥次兵衛(幼名筑紫坊)と京の町を歩いているところから話は始まる。

「弥次兵衛」
盛親は坂を下りながら、・・・すこし、はしゃぎ気味の若い声を出した。

司馬遼太郎らしく、唐突な始まり方。

秀吉が亡くなるのと同じ時期に、父親で土佐の英雄 元親も亡くなったため、中央の政権争いから離れて、土佐に戻ることになる盛親。

関ヶ原の戦いでは、当初は東軍の家康に味方するはずが、三成が設けた関所に阻まれて、家康と内通することができなくなる。

流れで西軍へ参加するも、戦いに敗れ、大名だった盛親はただの浪人に成り下がる。

京都内で軟禁状態にされるが、大阪夏の陣のために5千人の部下と共に、最後の決戦に臨む。

というのが大体のあらすじ。

盛親は親の元親とは異なり、生まれついての大名。司馬遼太郎が描く盛親は、欲のない人間。大名として生まれながらも、第三者的な見方で、自分を見つめる盛親を描き出しています。

城持ち大名から一介の浪人に落とされても、そのこと自体には悲観しません。それでも盛親をしたって次々と訪ねてくる家臣たちから「再起」を求められる声を聞いて「自分はなにものなのか」「何を残したというのか」を自問自答します。

最後は大名としての生き方ではなく、大阪夏の陣で、1兵卒のような武者ぶりで家康軍を苦しめます。

父親の元親の生涯を描いた、「夏草の賦」と合わせて読むともっと楽しめると思います。